デイサービス衛生管理マニュアル!現場対応力を高める記録整備と感染症対策の実践法

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デイサービス衛生管理マニュアル!現場対応力を高める記録整備と感染症対策の実践法

コラム

2025/06/18 デイサービス衛生管理マニュアル!現場対応力を高める記録整備と感染症対策の実践法

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多くのデイサービス事業所では、衛生管理のマニュアルはあるものの「作成しただけ」で終わっていることが少なくありません。特に非常災害や感染症まん延時の対応項目が現場で共有されていない場合、対応の遅れや記録漏れが原因で行政指導や利用者家族からの苦情に発展するケースも実際に報告されています。

 

厚生労働省によると、令和6年の通所介護施設における「緊急時対応マニュアル未整備」の指摘件数は前年比で増加。衛生対策や感染防止だけでなく、記録の明記、研修の実施、職員の対応理解までが明確に求められるようになっています。

 

「基準を満たすマニュアルって、具体的にどう作ればいいの?」「記載内容や記録方法に迷っている」「感染症発生時の連絡体制が不安」そんな悩みを抱えているなら、この記事で解決の糸口が必ず見つかります。

 

本文では、デイサービス現場に即した衛生管理マニュアルの作成・活用方法を、職員別の対応フローや行政対応を想定した記録書式まで徹底解説。研修への落とし込みや具体的な掲示資料のテンプレート例も紹介しています。

 

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デイサービスにおける衛生管理マニュアルとは!

なぜ衛生管理マニュアルが必要なのか?現場運営との関係

 

衛生管理マニュアルがデイサービスの現場にとって不可欠である理由は、単なる感染症対策にとどまりません。事業所の信頼性を高める基盤として、また職員の行動を標準化し、トラブルを未然に防ぐための「業務マニュアル」として機能するからです。

 

まず、現場で多く見られるリスク事象には以下のようなものがあります。

 

  • 利用者の発熱時に対応が職員によって異なる
  • 嘔吐物処理時に必要な消毒剤や手順が統一されていない
  • 清掃頻度や部位が属人的に判断されている
  • 感染症発生時に誰がどこに報告すべきかが明確でない

 

現場運営との関係で特に重要なのは、衛生管理マニュアルが「業務手順書」的役割を果たすという点です。たとえば以下のような効果が期待できます。

 

  • 新人職員への業務引き継ぎがスムーズに進む
  • 職員間で対応が統一され、ダブルスタンダードが発生しない
  • 異常発生時の対応スピードが格段に向上する
  • 実施記録と連動して、事後的なトラブル検証が容易になる

 

こうした効果を得るには、マニュアルに具体的な対応項目だけでなく、誰が、いつ、どのように実行するのかという「実行責任の明記」が必要です。

 

現場の混乱を防ぐためにマニュアルに盛り込むべき運用設計の一例

 

項目 内容 記載のポイント
嘔吐処理の担当 看護職員不在時は介護リーダーが実施 役割分担を具体的に明記
使用する消毒剤 次亜塩素酸ナトリウム(0.1%濃度) 希釈方法も併記する
処理後の記録 処理日時・実施者・処理箇所・使用資材 チェックリスト形式で残す
保護具の着脱手順 エプロン→マスク→手袋の順で脱ぐ 交差感染防止策として明文化

 

施設種別(小規模 地域密着型 特養)による必要項目の違い

 

まず、小規模デイサービス(定員10人以下)においては、多機能的な職員配置がされることが多く、衛生管理も「誰がやるか」が曖昧になりがちです。そのため、マニュアルには「担当者明記」が非常に重要です。また、厨房業務や送迎業務が職員の兼務で行われる場合もあるため、各業務に応じた衛生手順を簡潔にまとめ、掲示型で視覚化する工夫が有効です。

 

一方、地域密着型通所介護(定員18人以下)では、地域の高齢者に密着した支援が求められるため、感染症発生時の「地域連携体制」がポイントになります。マニュアルには、かかりつけ医、保健所、近隣施設との連絡手順や協力体制が記載されている必要があります。

 

特別養護老人ホーム(特養)など併設型デイサービスでは、施設全体の感染対策方針と連携させる必要があります。厨房・トイレ・手すりなどの衛生管理だけでなく、居住部門と通所部門でのゾーニング設計が必要です。

 

施設種別ごとのマニュアル記載の要点

 

施設種別 必要なマニュアル要素 特記事項
小規模デイサービス 担当者別役割分担、簡略化された手順書 職員間での共有しやすさ重視
地域密着型通所介護 地域連携の流れ、通報体制、地域感染情報の反映 保健所・医療機関との連携手順が重要
特養併設デイサービス 共用部分の衛生分担、ゾーニング管理、隔離対応 居住スペースとの交差管理に注意

 

緊急時対応マニュアルとの違いと連携構成の考え方

衛生管理マニュアルとの違いを表でわかりやすく比較

 

衛生管理マニュアルと緊急時対応マニュアルは、一見すると類似点が多いように感じられますが、その目的・対象・記録方法・更新頻度などにおいて明確な違いがあります。これらを混同すると、現場での対応に混乱を招く恐れがあるため、各要素を表形式で明示的に整理することが重要です。以下の比較表は、それぞれのマニュアルが担う役割と運用方法の違いをわかりやすく示しています。

 

マニュアル比較表

 

項目 衛生管理マニュアル 緊急時対応マニュアル
目的 日常的な衛生の維持と感染予防 災害や感染症拡大など緊急事態への対応策
対象事象 手指衛生・環境消毒・食品衛生など 地震・火災・感染クラスター・停電・断水など
使用頻度 毎日・定期的(点検、清掃、記録) 必要時(発生時に即座に活用)
記録媒体 チェックリスト、清掃記録表、検温表など フローチャート、対応記録、報告用フォーマットなど
保管場所 現場ファイル・管理室 緊急持ち出し用バッグ・管理室内ロッカーなど
見直し頻度 半年~年1回程度 年1回以上、災害・感染症発生時に都度更新
関連部門 看護・介護・給食・施設管理 施設長・全職員・外部機関連絡担当者など
法令関連 感染症法、食品衛生法など 災害対策基本法、消防法、感染症法など

 

対応手順フローチャート

 

  1. 利用者・職員の発熱または症状確認
    • 検温(37.5度以上)・咳・倦怠感などの症状チェック

     

  2. 該当者の隔離
    • 専用の隔離スペースへ誘導
    • 接触者との距離を確保

     

  3. 保健所への即時連絡
    • 症状・接触歴・行動履歴などを報告
    • 指示に従い検査依頼や濃厚接触者特定を実施

     

  4. 関係機関と連携(行政・医療機関)
    • 感染者搬送の調整
    • 閉鎖・通所中止の判断支援

     

  5. 感染経路の遮断措置
    • 動線と空間の徹底消毒
    • エリアごとの利用制限

     

  6. 情報の職員間共有と記録化
    • 発生状況の記録
    • 日報・対応記録として残す

     

  7. 家族・関係者への説明
    • 状況報告と連絡体制の明示

     

 

これらの手順は常に見直しが必要であり、感染症の種類や行政の最新指針に応じて更新することが求められます。

 

非常災害・停電・断水時の衛生維持対策

 

災害時にはライフラインの遮断により、通常の衛生管理が不可能になることがあります。特にトイレ使用や手洗い・調理といった日常的行為に支障をきたしやすく、衛生悪化による二次被害を防ぐためには、事前準備と緊急対応の両面からの備えが必要です。

 

緊急時の衛生維持対策リスト

 

トイレ対策

 

  • 簡易トイレ(凝固剤・吸水シートなど)の常備
  • ゴミ袋+新聞紙+段ボールによる即席トイレ作成マニュアルの掲示
  • 使用済みトイレ袋の密閉保存と焼却処理のフロー確認

 

手洗い・消毒

 

  • アルコールジェルや次亜塩素酸水の備蓄
  • 使い捨て手袋、ペーパータオルの配布体制
  • ポリ袋を用いた簡易手洗い機の設置法共有

 

飲料・生活用水

 

  • 1人1日3L×3日分の備蓄
  • 給水タンクやポリタンクの設置
  • 雨水の応用と煮沸法の表示ガイド整備

 

施設内ルール

 

  • 使用可能な水源・トイレの明示
  • 廃棄物の分別と仮保管ルールの周知
  • 職員交代制による巡回清掃体制の構築

 

緊急時マニュアルの見直しと衛生ルールとの統一運用方法

 

緊急時対応マニュアルと衛生管理マニュアルは、役割が異なるにもかかわらず、現場運用上では連携させて活用する必要があります。特に感染症災害のように、衛生と緊急対応が複合する状況では、統一的な運用が不可欠です。以下に、統合的な運用を行うためのステップを示します。

 

統一運用のためのフロー

 

  1. マニュアル横断チェックリストの作成
    • 共通項目(感染対策・報告フローなど)を統一記載
    • 職員の混乱を防ぐ表現の統一を実施

     

  2. 合同マニュアル研修の実施
    • 年2回、両マニュアルをテーマにした実践研修
    • 想定シナリオ(停電+感染症など)による実践訓練

     

  3. マニュアル再構成
    • 各章末に「連携運用項目」や「災害時加筆」を盛り込む
    • 両マニュアルに参照リンクを設ける(例:衛生管理マニュアル第4章→緊急対応マニュアル第2節)

     

  4. 管理体制の一本化
    • 担当者を兼務化、マニュアル管理責任者を明確化
    • 見直しスケジュールを一体化(例:毎年6月に同時改訂)

     

  5. 外部連携の明文化
    • 行政や医療機関との連携プロトコルを両方に明記
    • 報告義務や応答フローを一覧化

     

 

デイサービス現場でのマニュアル活用と職員研修への落とし込み方

職員・パート職員別の理解度別教育のコツ

 

デイサービスにおけるマニュアルの運用は、施設の安全管理とサービス品質の向上に直結する重要な業務です。しかし、職員には常勤・非常勤・パートといった勤務形態の違いが存在し、マニュアルに対する理解度や習熟度にも差が生じやすくなります。これを放置すれば、緊急時や感染症発生時の対応にばらつきが生まれ、重大な事故や行政指導の対象となりかねません。

 

そこで、まず必要となるのが職員の属性ごとに異なるアプローチをとった教育設計です。

 

階層別に応じた研修設計の基本

 

職員層別の教育アプローチ一覧

 

職員区分 主な特徴 教育方法の工夫点
常勤職員 業務経験が長く責任範囲が広い 実地訓練、マニュアル熟読の上級研修を実施
非常勤職員 担当業務が限られマニュアル全体を把握しづらい 簡潔な要点シートの活用、動画教材の導入
新人職員 知識ゼロからのスタートで混乱しやすい OJT中心の段階的研修、質問しやすい環境づくり
パート・アルバイト 時間制勤務が多く教育機会が限られる 繰り返し使えるチェックリスト型教材

 

階層別教育成功のためのチェックリスト

 

  • 勤務形態別の理解度テストを実施して初期レベルを把握
  • 雇用形態によって教材の難易度と内容を変更
  • 業務内容に直結する部分を重点的に指導(送迎職員には安全管理中心など)
  • パート職員にも集合研修の機会を確保(オンライン研修や録画配信も活用)
  • 理解度の再確認とフィードバックループを取り入れる

 

マニュアルを活用した教育では、「指示を伝えた」だけで終わらせず、「実際に理解し、行動できるようにしたか」に重きを置くべきです。特にパート・アルバイト層にも届くわかりやすさが、全体の安全性を大きく左右します。

 

集合研修/OJT活用例 マニュアル浸透の実例紹介

 

実際のデイサービス現場では、マニュアルの内容をただ配布するだけでは現場浸透が難しいとされています。そこで重視されているのが、「集合研修」と「OJT(On the Job Training)」の併用です。これにより、理解の浅い職員でもマニュアルの内容を業務の中で自然に身につけられる仕組みが実現できます。

 

まず、集合研修では以下のような方法が有効です。

 

集合研修における工夫された実施方法例

 

  • プロジェクターを使って、緊急時対応や衛生管理マニュアルの重要箇所を視覚化
  • 事故・急変・感染症対応など実際に起こった事例を基にシナリオ型ディスカッションを実施
  • マニュアルを基にした模擬対応訓練(発熱者発見時の隔離誘導など)
  • 厚生労働省が公表している「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 最新版」資料を活用

 

さらに、OJTでは日常業務の中でマニュアルを繰り返し確認できるような体制が重要です。たとえば、次のような仕掛けが現場で効果を上げています。

 

OJTでの工夫ポイント例

 

  • 各業務のチェックリストをマニュアルの該当ページと連動させる
  • OJT担当者が毎日の朝礼で1トピックずつマニュアルを共有
  • 利用者対応の場面で「今の動作はマニュアルの何ページか」振り返る習慣を作る
  • 新人教育用にQRコード付きのマニュアルを配布し、スマホでも閲覧可能にする

 

まとめ

デイサービスの現場で求められる衛生管理マニュアルは、単なる文書の整備にとどまりません。感染症のまん延防止や食中毒対策、非常災害時の初動対応に直結する重要な実務ツールです。厚生労働省の通達でも、通所介護施設にはマニュアルの記載内容だけでなく、研修や記録の実施、職員の理解度までが厳しく問われています。

 

「マニュアルはあるけれど、実際に対応できるかは不安」「非常勤職員まで浸透しているとは言い難い」そんな現場の悩みは少なくありません。特に、利用者の安全確保や職員の事故予防といった観点からも、対応の標準化と教育体制の見直しは避けて通れない課題です。

 

今回の記事では、常勤と非常勤で異なる理解度に合わせた教育方法、OJTや集合研修の具体例、行政対応にも耐えうるチェックリストの整備法までを網羅的に解説しました。さらに、掲示資料や配布用テンプレートなど、現場で即活用できる実践的な素材も取り上げています。

 

一度整備しても、その内容が活用されていなければ意味がありません。職員全員が迷いなく動ける環境づくりのためには、マニュアルの整備と並行して、記録、研修、共有の仕組みを定期的に点検・更新することが不可欠です。

 

放置すれば、ひとつの記録漏れが行政からの指導や家族からの信頼低下へとつながりかねません。今こそ、あなたの施設の衛生管理体制を見直し、「万全の備え」から「実効性のある運用」へと一歩踏み出すタイミングです。

 

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よくある質問

Q. 衛生管理マニュアルを整備しないと、どのような行政指導を受ける可能性がありますか?
A. 厚生労働省の指針に基づく通所介護事業所の実地指導では、衛生管理マニュアルの未整備や内容の記載不備が確認された場合、改善命令や是正報告の提出が求められます。特に最新ガイドラインでは、感染症対策や対応手順の記録整備が強調されており、過去にはチェックリストの不備によって評価が20点以上減点された事例も報告されています。マニュアルの作成は単なる書類準備ではなく、実効性ある運用体制を含めた体制整備が求められています。

 

Q. 非常勤職員や送迎スタッフにも衛生管理マニュアルを浸透させるにはどうすればいいですか?
A. 衛生管理マニュアルの理解浸透には、職員の勤務形態に合わせた教育が不可欠です。特に非常勤職員や送迎担当者には、短時間で内容を理解できるようチェックリスト形式の資料や、掲示資料、配布用プリントの活用が効果的です。ある通所介護事業所では、研修動画とQRコード付き簡易マニュアルを導入したことで、非常勤スタッフの理解度が平均68パーセントから93パーセントまで向上しました。現場実施率を高めるためには、紙ベースとデジタル教材を併用する多層的な教育設計が推奨されます。

 

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